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::Re:mem:ber:: i
痛い。これが万年中忍である人間の力か?
腕を掴まれた主人公は、そのあまりの強さに笑った。ぜえぜえと肩で息をするイルカにウルトラマンビームをしていたら捕
まったのだ。「ふざけるのも大概にしろ!」と云われて。
そして主人公は何故イルカが怒っているのか解らなかったから、とりあえず「うん」と答える。
その間もずっと手首を握られていて、どんどん強さを増す様だ。イルカもまた、意味を理解しようとしない主人公に怒りが
募り更に怒鳴った。
「うんじゃない!真面目に答えるんだ!!勝手に現れたと思ったら勝手に消えて……お別れってどういうつもりなん
だよ!」
「そのままの意味なんだけど……」と云う主人公は心底“引いて”いる。あのイルカが本気で怒っているのだ。
「イルカ先生、よく聞き給え。私は“あんぶ”へ行くのだ。“あんぶ”に行くと云う事は、もう君には逢えなくなるのだよ!
だから今日、最後のお別れに行ってやったと云うのに………私の云った事をもう忘れてしまったのか、この愚か者
め!!」
「愚かなのはあんただ!いつまでそうやって自分を欺いて生きてく気だ!!」
中忍と上忍の力の差は歴然なのに、主人公は手を出す事が出来なかった。目を丸くして立っている。逆光でも、そのいけ
好かない表情はイルカにはよく判った。イルカの手に熱が篭もる。
――これは……中忍の手ではない。
主人公の中で、どこから聴こえてくるか知れない、声がした。
驚いた主人公は、イルカが自分を捕らえる手を見て、その声を聴いて、混乱する。
「…………ぃ……うるさい、うるさい、うるさい!!なんなのだ、君はっ!!」
「ちゃんと聞くんだ!」
「うるさい!黙れ中忍!お前は中忍だ!!」
イルカの事を振り払おうと暴れるが、それはなかなか放れてくれない。
――これは中忍の手なんかじゃない。
――イルカの手だ。
その先を聞いてはいけないと、主人公は耳を塞ごうとする。
「イルカ先生ぇ………放してよ……!!」
掴まれた主人公の右腕から青いものが漏れ出す。
そうだ。これは中忍で自分は上忍だから、チャクラを練れば逃れられる。
頭の中で墓に飾った花が見えた。あの時死なせてしまった子供だ。背後から自分の心臓を鷲掴みにして迫る。
これは中忍の手だ。
主人公に伝わる体温が語り出す。
――違う。これは中忍の手などではない。
――イルカの、
「やめっ……………」
男の手だ。
主人公の体からがくりと力が抜けると、イルカは膝を付いた主人公の背中に掌を当てた。大きな手だ。
「ごめん。折角お前が試験通ったってのに、混乱させることを言って……。けど主人公には、暗部に行ってほしくないんだ。
たのむ………」
強靭な心臓が抜かれてしまった主人公の体。あの時カカシに与えられた頑固たる決意。自分を隠し続けた報いだろう
か?否、あの時カカシは、自分に「上忍になれ」と云っただけなのだ。
本当にそれだけなのか?………きっと、それだけだ。そんなに深く考えなくてもいい。
そう思った途端主人公は堰を切ったように嗤いだした。何処にいたって、自分は何もかもを無視して好きな事をする人間
ではないか。上忍も暗部も関係無い。強いかそうでないかなのだ。
「馬鹿だなぁ、イルカ先生は。そんな事の為に私の家を探したのか!」
「馬鹿ってお前………大変だったんだぞぉ……」
イルカの右掌には、大きな火傷が残った。その手を自分の背中に感じ、目を閉じる。
深い、深い眠りだ。
イルカ先生でした!
まだまだ続きます。選択ドリームのくせに続きます!;;
原稿用紙何枚分になったんだよ!ってくらい書いたので、イルカ先生だけでも
あと一遍あります。カカシせんせのも併せると五、六あるそこそこ長いお話にな
る訳です。
長いですが、またお付き合いいただけると嬉しく思います。
次読むよ。
ブラザを閉じてお戻り下さい。